このピアノ曲集は7つの小品から構成されている。全ての小品は1937年から1940年の間に作曲され、太平洋戦争後も演奏され続けた。これら7つの小品は、出版物『清瀬保二ピアノ作品集』および『世界音楽全集 器楽編 第33巻』に収録されている。

これらの小品の音楽構造は、清瀬の作曲手法を実践的に示している。清瀬によれば、曲集の第1曲は「ジプシー音階」を用いて書かれており、これは増音程を含む半音階的な傾向を特徴とする。曲集の第2曲は、多様に変化する長いフレーズを持つ音楽パターンを有している。この曲は、音域と和声を発展させることによって音楽を進行させる。第3曲を構成する基本音は、ハ（C）、ホ（E）、ト（G）、イ（A）の4つである。より少ない種類の音を用いて多様な音楽を創り出そうとする試みが、この曲に反映されている。曲集の第4曲はリディア旋法で作曲されており、叙情的な雰囲気で終わる。第5曲では、7度の音程が顕著に響く。第6曲は8分の6拍子の舟歌であり、2連符と付点音符が揺れ動く。曲集の最後の小品では、7度の音程と半音階が頻繁に現れ、豊かな響きが空間に広がる。