プーランク : クラヴサン(またはピアノ)と管弦楽のための田園の奏楽
Poulenc, Francis : Concert champetre pour clavecin (ou piano) et orchestre
作品概要
作曲年:1927年
楽器編成:ピアノ協奏曲(管弦楽とピアノ)
ジャンル:管弦楽付き作品
総演奏時間:24分00秒
著作権:保護期間中
解説 (1)
執筆者 : 永井 玉藻
(691 文字)
更新日:2015年6月9日
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執筆者 : 永井 玉藻 (691 文字)
1927年から28年にかけて作曲された作品。献呈を受けたのは当時最高のチェンバリストだったワンダ・ランドフスカ。1923年、プーランクはピアノの師匠であるリカルド・ヴィニェスの招待で、マヌエル・デ・ファリャの《ペドロ親方の人形芝居》のパリ初演に出席した。この初演はエドモン・ド・ポリニャック邸で行なわれたもので、ワンダ・ランドフスカがクラヴサンを担当していた。この時に、ランドフスカがファリャとプーランクに、クラヴサンをソロ楽器にした協奏曲の作曲を依頼したと考えられている。作品は1928年8月に完成し、ランドフスカの自宅でプライベート初演されたのち、翌年5月に、彼女のクラヴサン、パリ交響楽団とピエール・モントゥーによる指揮で、サル・プレイエルにて公開初演された。
作曲の際にプーランクが想定していたクラヴサンは、1912年に開発された、プレイエル社製の16フィートブリッジのものだった。この楽器とオーケストラとの音量バランスは、作曲の際の大きな問題の一つだったため、プーランクとランドフスカ、そしてオーケストラの各パートのトップたちは、適切なバランスを見つけるために、何度も話し合いを行ったという。
作品はアレグロ・モルト、アンダンテ、フィナーレの3つの楽章で構成される。第1楽章のアレグロ・モルトは、プーランクらしく次々と変化する曲調が特徴的。ゆったりしたオーケストラの序奏で始まる第2楽章では、クラヴサンがオーケストラの伴奏に回る箇所もある。第3楽章はクラヴサンのめまぐるしいソロで始まり、オーケストラとともに盛り上がりを見せたあと、短三和音のアルペジオで静かに締めくくられる。