フォーレ :ヴァルス=カプリス 第3番 変ト長調 Op.59
Faure, Gabriel:Valse-caprice No.3 Ges-Dur Op.59
執筆者 : 齊藤 紀子 (331文字)
この作品は、1887年にスケッチとして着手されたものの、その後長い間放棄されており、1993年にようやく完成した。そして、その翌年に出版されている。フォーレは1886年から1992年までの間、ピアノ作品の作曲をほとんど行っていない。フォーレの作曲したヴァルス=カプリスの全4曲は各々異なる様式で書かれているが、殊にこの作品は他の作品との隔たりが大きい。例えば、頻繁に繰り返される転調や、左手が奏する低音が転調のきっかけとなっている点など。更に、メロディーを左右の手の間で受け渡し合うことがしばしばあるため、演奏においては、両手の緊密なつながりが求められる。
ピアニストのA・コルトーによって「リズムの巧妙な扱い、楽器と形式に関する熟知」が認められると評されている。
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