近年、管楽器のシリーズ作品を書いているが、この作品も、その一連の系譜である。ただ、今までの同種楽器のみのアンサンブル作品(「Blow! for Saxophone Quartet(2011)」、「Secret Couple Ⅱ for 2 Clarinets(2011)」、「Ricercare Ⅰ for Trombone Quartet(2012)」)と違い、今回は、ホルンにヴァイオリン、ピアノという異種楽器の組み合わせを試みた。この編成は、私の大好きな作曲家の2人、ブラームス、そしてリゲティに同じ作品があり、そこから借りてきたものである。しかし、ブラームス、リゲティが緊密なアンサンブルを要求する濃厚な音楽なのに対し、今回の作品は、3人の即興性とデカダンな空気が全体を貫く。3人の発言は殆ど絡み合わず、互いが孤独である。全体は、連続して演奏される4楽章よりなり、2楽章をピークに、次第に減速していく。「Ricercare」は、ここでは「探究する」の意味で用いている。