ブーランジェ, リリ :前奏曲 ロ長調
Boulanger, Lili :Prélude [en si] H-Dur
総説 : 平野 貴俊 (530文字)
作曲:1911年3月12日完成[パリ] 手稿譜:フランス国立図書館 《前奏曲[変ニ長調]》と同じ日に完成された。手稿譜には「管弦楽のための前奏曲」というタイトルがアルマニャックによって書き込まれているが、フランス国立図書館のカタログには「前奏曲 ロ調」として登録されている。本作品を管弦楽化するという構想がブーランジェにあったかどうかは現段階で不明であるため、「前奏曲[ロ長調]」とした。また《前奏曲[変ニ長調]》と同様の理由により、「ロ調」を「ロ長調」とした。ただ、ロ長調は結びに一瞬現れるが、本作品で終始用いられているわけではない。 《前奏曲[変ニ長調]》に比べて、旋律と伴奏が明確に区別されている。伴奏音型の種類により、全体は大きく3つのセクションに分けられる。演奏にあたっては、十六分音符の刻みに配慮する。整えながらも、ざわざわとした感じを効果的に出すことが重要。音楽は終始滞ることなく進むが、先へ行くにつれて中心的な音価が次第に長くなり、徐々に緩やかになるため、音価の差の表現に工夫を凝らすのがよい。 ※本解説は『リリー・ブーランジェピアノ曲集』(校訂:平野貴俊、カワイ出版、2015)に掲載されたものをピティナ・ピアノ事典向けに改稿したものです。
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