高校時代、ロックバンドで様々な曲をコピーしている間に自分達のオリジナル作品を作りたいという欲求が高まり、また、音楽以外に人生でやりたいことは何もないと思い詰めてぼくは音楽理論やピアノなどを個人的に習うようになった。その頃、あるピアノ教室の発表会が開かれることになり、そこで自作品を書いて発表することを勧められて作ったのがこの曲である。ぼくにとっては一応記譜された、そして(課題ではなく)自由に作曲した人生初めての作品で、当時は音楽の知識もそれほどなかったので「どうやって作曲したらいいんだ?」などと考え込むこともあまりなく、耳で探りながら音を楽譜に移していった。ただし、自分で演奏しなくてはならなかったため、ぼく自身の演奏能力の限界が作品にも大きく影響している・・だけでなく、それでも発表会では演奏を間違えてしまい、本来の形でこの曲が演奏されるのは39年を経た今回が初めてとなる。
全音音階をベースに、ディープパープルからコピーしたキメの不協和音(おそらく“Strange kind of Woman”)を取り入れ、ポップスではお馴染みでも、クラシック音楽ではまず考えられない手動フェードアウトで終わる第一楽章。第二楽章は、どうしていいかわからなくて最後まで楽譜ができず、いくつかの和音やモチーフを手がかりに即興で弾いたが、当然その結果に自分でも満足できず、また楽譜も残っていない。第三楽章ではピアノ演奏に「手拍子」という特殊奏法を取り入れ、最後は奏者自身が楽譜に書かれているとおりに拍手する。