1926年に作曲された歌曲。タイトルの仏語 « comptine » は、« compter »(数える)から派生しており、子どもの遊びで鬼などを決めるためのはやし歌を指す。作詞者不詳。〈馬車の上にはお人形〉はカタルーニャ語で、〈かささぎのマルゴ〉、〈月のなかの3匹の子ウサギ〉はフランス語で歌われる。1978年、モンポウが音楽家仲間たちとニューヨークの公演に出演した際、歌手が出演できなくなったため、急遽ピアノ連弾用に編曲した。初演はモンポウ本人とアリシア・デ・ラローチャによっておこなわれた。同じ公演の中で、歌と踊り第14番もラローチャによって初演されており、ラローチャは、「モンポウの音楽は、それを感じ取るすべを知る少数派のものかもしれません。けれど、私にとっては、この音楽は心から大切なもののひとつです」(濱田滋郎氏によるラローチャのCDライナーノートより)と語っている。
3曲ともすこぶる素朴な曲想。基本的に歌詞は深い意味をもたないが、「かささぎのマルコ」(旋法的なイ短調)は、ダヴィッドさんの庭で足をちょん切られる残酷でシュールな歌、音楽にもけだるい悲哀が漂う。演奏は平易だが、モンポウ特有の透明な和音が高音域まで重なり合う響きなどに、連弾版ならではの魅力がある。「馬車の上にはお人形」(ハ長調)、「月のなかの3匹の子ウサギ」(ト長調)はいずれも軽快でチャーミングな楽想を魅力とする。