この曲はPrologo - Loure - Scherzo I - Scherzo II - Trio - Scherzo II - Scherzo I - Menuetto - Fugaという各部から出来ています。
Prologoはフランス風序曲の遅い部分のような複付点8分と32分のリズムが特徴的なのったりした曲です。
Loureは9/8を3/4+3/8に分割した変則的なリズムで厳密にはLoureとは言い難いものかもしれません。12平均率的に言うと移調を数えない4和音の種類は43種類に及ぶのですが、それら43種類の4和音が全て出てくるという曲です。中全律でその43種類の4和音を聴いてみたいという誘惑に勝てませんでした。
Scherzo I - Scherzo II - Trio - Scherzo II - Scherzo Iは一連なりで、Trioを挟んだScherzoという構図です。ヴェーベルン的な逆行形と反行形が同じになるセリーを何種類か使っています。これもLoureの43種類の4和音のように、12平均律でない音律で12音列を聴いてみたいという好奇心から生まれました。
Menuettoは、冒頭のPrologoもそうなのですが今回演奏されるオルガンの写真からふと思い浮かんだメロディを使っています。このMenuettoからフランス近代音楽的な雰囲気を感じる方もいるかもしれません。
最後のFuga、テーマはやはり逆行形と反行形が同じセリーを使っていますがハーモナイズは調性的な曲です。このFugaの形態は今回のオルガンの造形からインスパイアされました。
こうして全体を見渡すと、オルガンのイメージから触発されたものと音楽理念的なものが並列されて行き最後にその二つが融合するという流れになっている曲であるかのようです。