ブラームス : ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 Op.83
Brahms, Johannes : Konzert für Klavier und Orchester Nr.2 B-Dur Op.83
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 小崎 紘一
(697 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : 小崎 紘一 (697 文字)
《ピアノ協奏曲第1番》が初期の代表作であるならば、この《第2番》はキャリアの最盛期に生まれたブラームスの代表作といっても過言ではない。ベートーヴェンの中期傑作郡をして「傑作の森」と呼ぶことがあるが、この時期のブラームスもまた彼の森に深く足を踏み込んでいた。
ヴィーン時代に母が逝去、それを受けて作曲した《ドイツ・レクイエム》の発表(1868)によりブラームスの作曲家としての評価は揺るぎないものになった。そして1876年には20年近い制作期間を経て《交響曲第1番》が完成、翌年には早くも第2交響曲が初演されている。ブラームスの交響楽がようやく作品として具体的な結実を見たこの時期に書かれた《ピアノ協奏曲第2番》は前作に較べて自ずと交響楽的側面を深めたものになっている。50分という演奏時間は当時の協奏曲の中でもかなり長い。しかしこの作品に対する評価は極めて高く、初演されるや否や各地で再演を重ねた。
モーツァルトによって確立された「緩―急―緩」という3楽章から成る協奏曲という枠組みはここではあっさりと外されており、第2楽章に情感深いスケルツォが配されているのが構造的な特徴である。また、演奏会の花形(オーケストラをバックに存分に腕を振るうヴィルトゥオーゾ)としての協奏曲や、自身の第1番のように独奏、室内楽、交響楽といった諸様式を聴かせるものとも異なり、しっかりと独立したソロを聴かせながらも基盤になっているのはあくまで交響楽的な構想である。第3楽章では主題を奏するのが独奏チェロであるところも耳を惹かれる。ピアノ対オーケストラという図式よりも、ピアノ付の交響曲とでもいうようなニュアンスが強い。
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