初期の歌曲集《心の旋律集》作品5-3〈君を愛す〉（1864年作曲）のピアノ編曲。原曲は、アンデルセンの同名の叙情詩集の詩に付曲したもので、初版は詩人の故国コペンハーゲンで1865年に刊行された。したがって、原曲の歌詞はデンマーク語で書かれている。このピアノ編曲では、22小節からなる原曲部分がほぼ忠実に編曲されてる。前奏はワーグナーを思わせる半音階進行が聴かれる。編曲では、この前奏は3小節から6小節に拡大されている。原曲に忠実な編曲部分のあとは、歌詞の意味をパラフレーズするかたちで、伴奏が無窮動のような分散和音（「私は君のことを想う、いつも君のことだけを考えている」）、交響的で壮大な響き（「どんなに神がこの生の運命を操ろうとも」以下）へと変化し、完全にピアノ特有の表現へと再作曲される。