ショスタコーヴィチ :24のプレリュードとフーガ 第8番 Op.87-8 嬰ヘ短調

Shostakovich, Dmitry Dmitrievich:24 Preludes and Fugues No.8 fis-moll Op.87-8

作品概要

楽曲ID:21829
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:8分30秒
著作権:保護期間中

ピティナ・ピアノステップ

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解説 (1)

解説 : 山本 明尚 (522文字)

更新日:2021年1月9日
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前奏曲(アレグレット、1950年11月26日完成)は諧謔的な楽曲。弦のピチカートのような一定のリズムを刻む伴奏と、あちらこちらに跳び回る右手の旋律とが対置されている。中途に見られる音型(例えば10小節目以降の8分音符による(E♯-)E♯-E-E-D-D-D♯-D♯-E-E-D♯-D♯-Dは、その韻律と用いられている音程を取って「ヤンブスの一度(ヤンビーチェスカヤ・プリーマ)」と呼ばれ、中期以降のショスタコーヴィチ以降の作品に頻出する。しばしば強い情動表現として用いられるという音型だが、本曲ではクレッシェンドで強調されてこそいるものの、さりげない盛り上がりといった印象がある。

前奏曲の軽やかさから、フーガ(3声、アンダンテ、1950年11月27日完成)では雰囲気が一転する。クレッシェンドにより強調された三全音が印象的な切れ切れの主題は、あたかも苦しげに語りかけるように聴こえ、楽曲全体に不安感と緊張感をもたらす。また、楽曲全体で中音部以下の音域が多用されている点でも、その雰囲気は強められている。主題同士が呼応するストレッタも、主題自体の引き伸ばされたリズムにより徐々に減衰していくピアノの音色によって、あたかも空虚なこだまのように響く。

執筆者: 山本 明尚
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