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バッハ : インヴェンション  第5番 BWV 776 変ホ長調

Bach, Johann Sebastian : Invention Nr.5 Es-Dur BWV 776

作品概要

楽曲ID:22488
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:1分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用3 応用4 応用5 応用6 応用7 発展1

楽譜情報:35件
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解説 (3)

解説 : 髙松 佑介 (218 文字)

更新日:2020年9月18日
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変ホ長調、4/4拍子。

フーガ的な書法で書かれた曲で、3つの主題提示部から成る。

まず冒頭で上声部が4小節の主題を提示すると、続く4小節で下声部が属調で応答する(第1提示部)。冒頭動機の摸続進行から成る3小節の間奏を挟んだのち、第12小節からハ短調とヘ短調で主題が提示される(第2提示部)。再び3小節の間奏と、そして主題の冒頭動機のみの提示(下属調)・応答(主調)を経過して、第27小節から主調で主題を回帰し(第3提示部)、曲を締めくくる。

執筆者: 髙松 佑介

楽曲分析図 : 林川 崇 (192 文字)

更新日:2018年3月15日
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テーマは原型でのみ登場し、嬉遊部では1小節目の動機のみ使用。詳細な記載は省いたが、16分音符で動く対旋律は、ほぼ常に動機d(下声部第1小節3、4拍目)、e(下声部第2小節1、2拍目)、f(下声部第2小節3、4拍目)のいずれかが用いられている。コーダにおける主題の再現では、動機bを4度上げて繰り返し、変化を与えている。

譜例提供:ベーレンライター(Bärenreiter Verlag)

執筆者: 林川 崇

演奏のヒント : 大井 和郎 (1066 文字)

更新日:2018年3月12日
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第5番 変ホ長調  バッハのEs-durは、上品で力強い調です。筆者はこの5番の演奏で、かなりおとなしく、ゆっくりの音源を耳にしていた時期があります。躍動的であろうとも、ゆっくりであろうとも自由です。しかし形式は知っておきましょう。  テーマをわかりやすくお伝えすると、1小節目からの右手で、4小節目まで続きます。厳密に言うと、5小節目の最初の右手の音、Dまで続きますが、4小節単位とお考え頂いた方がよりわかりやすいと思います。この4小節のテーマでは。1小節目より、2小節目のほうが音が高い位置にありますので、2小節目のほうにテンションが行きます。そしてさらに3小節目、4小節目とテンションは高くなりますね。  ちなみに、1小節目のフレーズのゴールは3拍目のGです。よって、次に来るAsはGよりも高い位置にあるものの、Asは解決的な音ですので、Gのほうを強く(3拍目を強く)しておくとよいでしょう。2小節目も全く同じマナーですが、1小節目よりも少し音量を上げます。3-4小節間は2小節で1つのフレーズと考え、4小節目、4拍目のFにゴールを持って行きます。  そして5小節目からは左手がB-durで同じテーマを演奏します。マナーは1-4小節間と全て同じです。9-11小節間はシークエンスになります。テーマの断片が1小節毎に登場し、上行しますので、クレシェンドをかけて良いと思います。  12小節目からテーマは左手で、C-mollによって演奏されます。16小節目、テーマは右手に入れ替わり、f-mollで演奏されます。20-23小節間、2回目のシークエンスです。テーマの断片は左手に登場します。この場合、音は下行していますので、ディミヌエンドでも良いと思います。  23-24小節間で1つ、25-26小節間で1つとして、これもシークエンスと見なします。  27小節目、ようやくEs-durに戻り、エキストラの30小節目を含んだテーマが最後まで続きます。  非常にわかりやすい形式であると思います。奏者は、各調で現れるテーマにカラーを与え、同じようには弾かないようにします。他のインベンションとは異なり、特に最もピークを迎えるポイントがこのインベンションには存在しません。そうなると、なおさらダイナミックや音質の変化が求められます。  そしてもう1つの注意点は各小説1拍目の最初の音の扱いにあります。ほぼ、全ての小節の最初の音はpまたはppと思って頂き、決してアクセントが付かないようにします。多くの場合、フレーズの終わりの音だからです。

執筆者: 大井 和郎

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