バッハ : フーガ(アルビノーニの主題による) ハ長調 BWV 946
Bach, Johann Sebastian : Fuge über Thema von Tomaso Albinoni C-Dur BWV 946
作品概要
出版年:1866年
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:フーガ
総演奏時間:3分20秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (2)
執筆者 : 朝山 奈津子
(684 文字)
更新日:2007年10月1日
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執筆者 : 朝山 奈津子 (684 文字)
主題は、『トリオ・ソナタ集』作品1(1694、ヴェネツィア)第12番終楽章による。この曲集から主題を借りたフーガは全部で3曲あり、ほぼ同時期、ヴァイマール赴任以前の作曲とみられる。これら初期作品群のフーガの特徴としては、主題提示に明確なデザインがないこと、曲の最後にトッカータ風の走句をおいて締めくくることが挙げられる。主題提示のデザインが不明瞭であると、主題を各声部が提示する部分と自由な動機展開を行う部分(エピソード)の交代が明確でない、さらにいうなら、エピソード部が存在しないようなフーガになる。また、しばしば模続進行やカデンツが紋切り型で冗長に感じられる。「アルビノーニ・フーガ」の最後の作品であるBWV951は大幅な改訂を加えてBWV951aに書き直されるが、その際、終結部の走句も含めて古い常套句が排除された。改訂はヴァイマール時代と推測され、すなわちバッハ自身が自らの「初期」フーガと意識的に決別したのがこの頃、ということになる。
BWV946は、創作史のとりわけ初期に習作として書かれたようだ。声部はあまり厳格に維持されず、対位法技法にも、対位主題や転回などの特別な技巧は見られない。時に2声部に減じるにも拘らず、全体がどこか重厚に感じられるのは、主題に対位される声部がリズムや旋律形の上でコントラストを生まないことに原因がある。そこで奏者には、ハ長調のきわめて明澄なアーチ型主題をくっきりと際立たせるよう注意が求められるだろう。
また、チェンバロやピアノで演奏する場合には終結部の4小節半の最低声部に、オクターヴ移高など何らかの手を加えなければならない。
演奏のヒント : 大井 和郎
(414 文字)
更新日:2023年11月20日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (414 文字)
まず、このフーガで難しいことは拍の認識です。裏拍からテーマ(主題)が始まりますので、拍を認識しながら(感じながら)演奏してください。どうしてもこんがらがってしまう学習者は、テーマにかけられている2箇所のタイを外して練習してください。
その上で、このフーガはなんとC-durとG-durのテーマ以外は出てきません。C-durは8回、G-durは6回出てきます。学習者はどのテーマが最もテンションが高く、どのテーマがテンションが低く等、考えて、演奏の際に対比をしてください。
筆者が考える、最もテンションの高いテーマは、34小節目からスタートするC-durのテーマです。その前に、3小節間、ヘ音記号には音が書かれていません。34小節目の手前2小節は、下行していますが、下行していてもクレシェンドをかけて34小節目に入ると効果的です。
それから先、音量はフォルテを保ち、最後の和音である51小節目の和音をゆっくり、威厳を持って弾いて下さい。