⒉ シミー Schimmy
「シミー」とは、1910年代から1920年代にかけて流行したダンスで、肩を素早く前後に振り動かすことを特徴とする。
以下の二部分から成る。
第1部(ABA’形式):第1~45小節
A:第1~16小節 2/4, 2/4
弱起で序奏が始まり(第1~2小節)、前楽章と同様に、全体としてシンコペーションが多用されると共に、装飾音が随所に現れる(第4, 10, 12小節等)。また、2拍子の左手の伴奏に対して、右手のフレーズが3拍子のリズムを刻むことで、ポリリズムを形成している(第5~6小節等)。
B:第17~30小節 2/2, 2/4
序奏が経過的に再現され(第17~18小節)、右手のシンコペーションと左手のオクターブ+6の和音による伴奏形を特徴とするB部分へと移行する。この左手の伴奏形もまた、タイによってシンコペーションを形成する(第21~22, 24~25小節)。
A’:第31~43小節 2/4, 2/2
白鍵(右手)と黒鍵(右手)による反行するグリッサンドが合図となり(第31小節)、Aが回帰する。第40小節まではA(第4~12小節)とほぼ同一だが、第41~43小節にかけて前小節からの音型を反復する。
第2部(C+コーダ):第44~78小節 2/4, 2/2, 3/2, 5/4, 4/4
序奏が経過的に再現され(第44~45小節)、即興曲風で幻想的なC部分へと移行する。前楽章にも見られたような滑音が多用される(第49~50, 54~55小節等)。第61小節までの比較的静寂で内省的な音楽的性格は、第62小節において音量(mf→f)と音域の両面で大きく展開する。コーダと見なすことができる第63小節以降は、三段譜に変わり、「幅広く Breit」の指示を伴って、より躍動的に音楽が進行する。また、和声的には7の和音と(第63~65小節等)、半音階的進行が際立っており、ジャズとの親和性を聴きとることができる。第69小節で本楽章で初めてfffに至り、第71小節では最高音域に達することで、音楽的展開はクライマックスを形成する。三連符による不協和音の容赦ない連打が、音量・音域の極端さと相俟って、刺激的な音響(効果的な不快感)を創出する。最後は投げやりな印象を与える不協和音の連打で音楽が切断されて終結する。