ベートーヴェン :7つのバガテル 第5番 Op.33-5 ハ長調
Beethoven, Ludwig van:7 Bagatellen Nr.5 C-Dur Op.33-5
解説 : 鐵 百合奈 (301文字)
Allegro, ma non troppo 快速に、しかしはなはだしくなく
複合三部形式。広範囲のアルペジオで始まり、即興的に細かく動き続ける。主部はトッカータに近い性格を有し、三連符の運動性やトリル、大きな跳躍などの勢いが魅力である。中間部は同主調のハ短調で、訴えの強い旋律が低音域のユニゾンによって歌われ、左手がさらに低い最低音域に三連符の分散和音で合いの手を入れる。歌謡的な激情、地の底でうごめく不気味さが主部と対照的である。半終止のffに達した後、三連符のスケールが流れ落ちて、無邪気な主部に回帰する。コーダはさらに旋律がそぎ落とされて運動性に特化していき、スケルツォ風にあっけらかんと終わる。
7つのバガテル 第5番
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