ベートーヴェン :6つのバガテル 第2番 Op.126-2 ト短調
Beethoven, Ludwig van:6 Bagatellen Nr.2 g-moll Op.126-2
解説 : 鐵 百合奈 (389文字)
Allegro 快速に
焦燥と緊張が張りつめた走句と切実な祈りの歌が、間髪をいれずに交互に繰り返される。この曲想と構成は、モラヴィア(現在のチェコの一部)に生まれた後世の作曲家ヤナーチェク(1854~1928年)の《草かげの小径》第10番〈梟は飛び去らなかった〉に似ている。モラヴィア地方には、「瀕死の人の住居にはふくろうが留まり、それを追い払えなければ助からない」という言い伝えがあり、アルペジオはふくろうを追い払う手の動きである。ベートーヴェンの秘書シンドラーはモラヴィア出身であり、ベートーヴェンはこの言い伝えを知っていたのかもしれない。いずれにせよ、死を招くふくろうを追い払うようなアルペジオの冒頭のモティーフは重要である。中間部はcantabile「歌うように」で、幸せな頃の美しい記憶が回想されるが、冒頭のモティーフが割り込み、亀裂が入るにつれ現実に引き戻されていく。
6つのバガテル 2. ト短調 op.126-2
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