作品概要
作曲年:1903年
出版年:1905年
初出版社:Peters
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:19分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 齊藤 紀子
(920 文字)
更新日:2007年11月1日
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執筆者 : 齊藤 紀子 (920 文字)
グリーグにとって最後のピアノ作品。グリーグの作品全体中の最後の作品は、合唱のための《4つの詩篇》であり、その直前のもの。しかし、この曲集を構成するすべての曲が晩年に作曲されたわけではない。第5曲目の<練習曲(ショパンへの頌歌)>は、《叙情小品集 第1集 作品12》の第5曲目<民謡>と同じ草稿譜に書かれている。
第1曲目は<あきらめ>。ルール(Lur 中世スカンジナビアで使われた木製の管楽器)の響きを模したような単音のロ音で開始する。メロディーは半音階的な音の動きに富んでいる。そして、左手が担う伴奏にもまた、半音階的な音の動きが潜在的に見られる。反復進行を経て至るクライマックスの後は、増4度が潜在的に見られる下降音形が続く。そして、第13音が加えられた属和音が印象的に響いた後、曲を閉じる。
第2曲目は<即興的スケルツォ>。この曲は、ヴァイオリンとピアノのためにも編曲されている。エコーや異なる音域の響きの対比が特徴的である。そして、生き生きとした性格を持つ。
第3曲目は<夜の騎行>。アッレグレット・ミステリオーソのこの曲では、4分の3拍子の中のリズムの扱い方が巧妙である。そして、中間部で一転して、美しい音楽が繰り広げられる。また、曲全体を通して、随所にヘミオラが見られる。
第4曲目は<ヴァルドレスの民謡>。ツィターに似たノルウェーの民俗楽器、ランゲライクを思わせる民謡調の音楽である。メロディーに表れる3連音符が印象的。
第5曲目は<練習曲(ショパンへの頌歌)>。グリーグの作品で、このように練習曲と銘打っているものは珍しい。16分音符の3連音符に、8分音符と16分音符を交互に弾くリズムが重なる。
第6曲目は<学生のセレナード>。この曲が書かれた20世紀初頭、ノルウェーはスウェーデンからの独立を達成した。学生たちは、そのような時代にあって理想主義と民族主義の代表であった。若々しい情熱に満ち溢れた作品。半音階的な和声が特徴的である。
第7曲目は<山人の歌>。この曲の原曲は、L. M. リンデマンの民俗曲集に収録されている。メロディーは五音音階が特徴的で、そこには持続低音を主体とした伴奏が添えられている。また、比較的規模の大きな楽曲。
楽譜
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Peters

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