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ハイドン :ソナタ 第60番 第1楽章 Hob.XVI:50 op.79

Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.60 Mov.1 Allegro

作品概要

楽曲ID:32252
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:11分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2025:F級

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:7件
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解説 (2)

解説 : 大井 和郎 (943文字)

更新日:2025年5月30日
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多くのハイドンのソナタは楽天的な曲が多いのですが、このソナタの第1楽章ほど、ハイドンのユーモアのセンスが、全面に出ている曲も珍しいと感じます。このソナタの冒頭数小節を演奏する、コリオグラフィーを観ると、一目瞭然で、まるで猫が左右の手を交互に動かす如く、人間の手も、左右に交互に弾かれ、これだけでもかなり楽しい雰囲気であることがわかります。

この第1楽章はとにかく、相手の意表を突く冗談があっちこっちに散りばめられていて、その「驚き」や、「笑い声」を表現しています。

例えば21小節目の3拍目の左手オクターブのGは、テーマですので、8分音符で書かれるはずなのに、何故か4分音符で書いてあります。人をからかうようです。また、90小節目から始まる16分音符4つ+8分音符のユニットは、あっちこっちに高さが飛びます、そしてppになったりフォルテになったり、ここは冗談を言って人を驚かしたり、からかったりする部分で、そして最後に、99100小節間でカデンツになりますが、ここは、「はっはっは〜」と言う笑い声と理解します。

このように、楽しさが満載のこの第1楽章、注意点はテンポで、最も多くの人達が犯すミスです。つまりは場所によってテンポが変わってしまいます。酷い例になると10小節目で16分音符が出てくるため、すでにここでテンポが変わってしまう例もあります。4445小節間のように細かい音符が出てくるところでも、1小節目と同じテンポを保ってください。もちろん、1小節目をここに合わせても構いません。

次の例は、ベートーヴェンテンペストの1楽章のカデンツにも言えることなのですが、7273小節間はオープンペダルとあります。しかし覚えておいてください。これはあくまでその時代の楽器の為のマーキングです。同じ事を現代のピアノでやってしまったら濁りが生じます。適度にペダルをハーフで変えるなりしてみてください。

32小節目 34拍間の左手3度は、3拍目の右手EGを右手の35で取り、3度の上のGAHCを右手で取ります。左手3度が問題無く弾ければこのような事をする必要はありません。109小節目ですが、左手が困難です。左手の最後の音を右手で取って下さい。同様に3拍目の左手も同じです。最後の音を右で取ります。

執筆者: 大井 和郎

解説 : 齊藤 紀子 (212文字)

更新日:2020年2月9日
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参考動画&オーディション入選(2件)

前田 日佳里(入選)
室谷菜々実:第8回(2023年度)ソナタコンクール入賞者動画