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モンポウ :前奏曲 第1番

Mompou, Federico:Prelude No.1

作品概要

楽曲ID:3936
作曲年:1927年 
出版年:1930年 
初出版社:Heugel
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:1分30秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

執筆者 : 内藤 晃 (616文字)

更新日:2018年3月12日
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1928年作曲。「ロマンスのスタイルで(Dans le style romance)」。12/8拍子のバルカローレ風。嬰ト短調。

カタルーニャ風のけだるいメランコリー漂う作品。たゆたうような8分音符による上行アルペジオに乗せて、順次進行で下行する印象的な旋律がぽつり、ぽつりと歌われ、付加6の和音の響きが神秘的な含みのある表情をもたらす。内声の反進行する対旋律を契機に、旋律は3度のデュエットへ。高揚ののち半音階的に嬰ヘ長調に転じ、嬰ハ長調の付加9の和音で淡い余韻を残して終わる。幼少時から祖父の鐘鋳造工場で鐘の複雑な金属音を聴いて育ったモンポウは、鐘を思わせるような付加和音に独特のセンスを発揮しているが、本作品は、僅か12小節ながら、モンポウの響きの魅力のよくあらわれた佳曲である。

なお、モンポウは、弟子たちに、響きの余韻に耳を傾ける大切さを説いていた。「響きが最も強く、美しくなるのは、的確には、音を出した最初の瞬間ではありません。(中略)ハンマーが弦を打った最初の瞬間から、共鳴をともなった振動が上昇線をたどり、最高潮に達して、下降線をたどります。これらのニュアンスこそ、活かすすべを心得ておかなければならないものなのです。二つの音の間の限られたこの狭い空間のなかに響きの秘密が隠されています。」(「ひそやかな音楽―フェデリコ・モンポウ 生涯と作品」クララ・ジャネス著・熊本マリ訳、1993年東京音楽社、pp.292-293)

執筆者: 内藤 晃
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