“mysterious”と示された冒頭の雰囲気を大切にしながら進めたい一曲です。左手にメロディーが置かれており、常に前に進む推進力を意識して演奏すると、曲全体の流れが自然に生まれます。右手は裏拍での伴奏ですが、左手としっかり呼応しながらタイミングよく打鍵することが大切です。遅れが生じないよう、リズムの感覚を明確に持っておきましょう。

拍子は2分の2拍子で、つい4分の4拍子のように捉えてしまいがちですが、常に2拍のまとまりを意識すると、音楽が軽やかに進みます。松葉のクレッシェンドやディクレッシェンドは、音楽の表情を大きく左右する要素です。「Haunted Tree」というタイトルにふさわしく、お化けの木になったつもりで、人を驚かせるような感覚をもって音に表情をつけていくと、よりイメージが膨らむでしょう。

16小節目からは、3部形式のB部分に入り、右手がメロディーを担います。フレーズの冒頭に書かれたスフォルツァンドをしっかり際立たせ、そこから始まるフレーズに重みを持たせます。高音域の響きが澄んで届くよう、丁寧にタッチしてみてください。全体を通して、表情の変化や拍感に注意を払いながら、「お化けが取り憑いた木」の物語を描くように生き生きと演奏して下さい。