ギロックの《Festive Piece(祭り)》には、「In early classic style」と添えられており、バロックから古典派初期の様式感を意識して演奏することが求められます。等速で進めることが基本となり、テンポの揺れを抑え、拍の中で明確なリズムを保つことが大切です。2小節単位で同じリズムが繰り返されるものの、強弱の変化や和音の違いによって音楽に多彩な表情が加わります。
8小節目の右手からはゼクエンツ(反復進行)が始まり、変ロ長調から次々に展開されていきます。テヌートで示された音には特に重心を置き、下降するラインが自然に聞こえるように心がけましょう。15〜18小節ではカデンツ(終止形)となり、いったん音楽が締めくくられる構造です。
その後、冒頭のモチーフが今度はイ短調で再現され、性格がより力強く、引き締まった印象に変わります。続いて、ここでもゼクエンツが登場しますが、へ長調から始まり、先ほどとは異なる、やや落ち着いた音色を感じさせます。ゼクエンツの最後では「poco allargando」が指示され、時間をゆったりととりながら音楽を拡大していくように演奏すると、堂々とした印象に仕上がります。
終結部の6小節では、スラーの切れ目に注意が必要です。一つひとつのフレーズを明確に区切りながら、整った音楽の輪郭を描いていきましょう。全体として、様式を大切に、構成の変化をしっかりと感じ取りながら進めると、作品の意図がよりはっきりと伝わる演奏になります。