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平吉 毅州 : 子どものためのピアノ曲集《虹のリズム》 錆びたブランコ

Hirayosi, Takekuni : Rainbow Rhythm The Rusty Swing

作品概要

楽曲ID: 45208
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:子供のための作品
総演奏時間:0分50秒
著作権:保護期間中

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎4

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (678 文字)

更新日:2025年7月21日
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平吉毅州《錆びたブランコ》は、タイトルが示すとおり、どこか懐かしく、哀愁を帯びた雰囲気が印象的な作品です。作曲者は、随所に現れるけい留音とその解決の響きを楽しんでほしいと述べており、それぞれの和声の流れに丁寧に耳を傾けながら演奏することが求められます。

3声の書法が用いられている部分では、各声部の音色や音量の違いを意識しながら、立体的な響きを作っていきたいところです。特に左手がバスと中声を同時に担っているため、バスの音が短くならないように注意し、左手だけを取り出しての練習も有効です。5小節目では、テノール声部が右手のソプラノと寄り添うように並行して動きますが、この部分は滑らかさを大切に、二人で一緒に歌っているような感覚で演奏したいです。

13小節目からは2声になり、簡素ながらも対話的な響きが広がります。17小節目でハ長調からイ短調へと転調し、左手が冒頭の旋律を再び奏でます。ここでは、右手の伴奏が小さな揺れのようなリズムを担っており、4分休符の間も含めて、その揺れが自然に感じられるよう、控えめなニュアンスで支えていくとよいでしょう。

25小節目以降は、曲のクライマックスに向かって高まりを見せます。特に、タイで引き延ばされた最高音のHの音は、伸びやかに響かせ、内に秘めた想いが解放されるような感情を伴って奏でたい部分です。その後は自然と落ち着いた表情に戻っていき、曲全体が穏やかな余韻の中で締めくくられます。全体を通して、ブランコのゆるやかな揺れと、それに重なる「錆びた」という形容にふさわしい、どこかノスタルジックな情感を込めて演奏したい作品です。

執筆者: 杉浦 菜々子

参考動画&オーディション入選(1件)

子どものためのピアノ曲集《虹のリズム》 錆びたブランコ

楽譜