作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(582 文字)
更新日:2025年7月21日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (582 文字)
更新日:2025年7月21日
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平吉毅州《波のお話》は、タイトルのとおり、波のゆるやかな動きが織りなす情景を音で描いたような作品です。冒頭に記された「優しく揺れるように」という指示からも分かるように、全体を通して無理のない自然な流れと、柔らかな表情を大切にしたいところです。楽譜には、大きな波を表す長いスラーと、小さな波を示す短いスラーが繰り返し登場し、それらが二声で対話するように組み合わされていきます。スラーのかかり方には細やかな変化があるため、どこからどこまでが一つのまとまりなのかを、丁寧に目と耳で確認していく必要があります。
左右のスラーの切れ目が一致していないことが多く、慎重に音の区切りを揃えていくことが求められます。急がずに、ゆっくりとした練習の中で、スラーごとの呼吸や動きの変化を感じ取っていくとよいでしょう。9小節目以降では、左手のスラーが一音単位の非常に短いものになり、ここでは左手に意識を集中させ、音がつながってしまわないよう注意が必要です。左右の手がともに上行しながら、poco a poco cresc.に従って自然な高まりを見せますが、到達するmfは決して強く主張するような音ではなく、豊かさを感じさせる響きが望まれます。
全体を通じて、波が寄せては返すような穏やかなゆらぎと、その中にある微細な変化を繊細に表現していくことで、この曲の魅力がより深く伝わることでしょう。
執筆者:
杉浦 菜々子
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楽譜
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