close
ホーム > ヤマハ > 新版 みんなのオルガン・ピアノの本 3 > ペトルーシュカ(ロシアの曲)

ヤマハ : 新版 みんなのオルガン・ピアノの本 3 ペトルーシュカ(ロシアの曲)

yamaha music foundation & yamaha music media corporation : *in preparation* *in preparation*

作品概要

楽曲ID:57131
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:教則本
総演奏時間:0分40秒

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎2 基礎3

楽譜情報:1件

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (416 文字)

更新日:2024年5月14日
[開く]

この曲のテンポは奏者によって様々ですが、特に、どのくらいのテンポが好ましいという事でもありませんので、テンポ設定は自由です。

この曲の課題としては、この曲が表現しようとしているムードや雰囲気になります。冒頭に「かなしげに」 と書いてありますので、この表記を前提にお話しを進めていきます。

その場合、あまりにも短く躍動的なスタッカートは御法度になります。少しだけ長い、少しだけ重たいスタッカートによって悲しみが表現出来ます。この曲に書かれてある全てのスタッカートは、そのように、短すぎないように演奏してみてください。

その他、気をつける事は、左右のバランスで、左手が大きすぎないようにします。後半、右手の和音は、トップノートを出して親指を控えてください。5~8小節間は、繰り返しがありますが、2回目の繰り返しの際に、1回目とは異なるような変化を付けて下さい。強弱記号はフォルテと書いてありますが、2回目はピアノで弾いても全く問題ありません。

執筆者: 大井 和郎

解説文 : 熊本 陵平 (692 文字)

更新日:2024年11月14日
[開く]

 ペトルーシュカは、「ロシア版ピノキオ」とも言える物語で、人間の心を持つ人形が人間に憧れを抱きながら決して人間にはなれない、という悲劇的な物語である。

 このペトルーシュカが人形であることを表現するために、音楽上では幾分ぎこちない動きを再現する必要がある。それが左手伴奏における三つの八分音符と八分休符である。八分休符を置き、分断することで流れを止め、ぎこちない人形の動きを表現している。

 主調はト短調で、3小節目から平行調変ロ長調へ部分転調している。その後にまた主調ト短調に戻るのだが、その主調に戻った5小節目は力強いフォルテ、やがて7小節目で悲痛なⅡ7和音(上声で根音と第7音を重ねた長2度音程で更に悲痛感を引き出す)を経由して締めくくる。こうした一連の流れは、ペトルーシュカの感情の推移と受け取ることができ、この流れに沿ってある程度自由に物語を想像することができる。

 例えば、変ロ長調へ部分転調した時に「一度は人間になれる明るい夢を見たものの、主調に戻った先では現実にはそうはいかなかった」として、同じ悲しみを表現するのでも、5から6小節の力強いフォルテは「上手くいかない憤り」であるとか、7小節目のメゾフォルテは「力果てていく様」であるなど、楽曲の構成に沿って物語を考えていくとより具体的な表現方法にもヒントが得られるだろう。

 最も特徴的な和音としては、やはり7小節目のⅡ7和音を挙げる。前述した通り、根音と第7音で不協和音程2度を作るため、より悲しみの表現が伝わりやすい。この和音を表現するために、前小節からすぐに入らず、ほんの少し間(マ)をとるなど表現に工夫をされると良い。

執筆者: 熊本 陵平

楽譜

楽譜一覧 (1)