舞曲であるガボット特有の上拍から始まる。アウフタクト上拍の単音2音から始まり、次に下拍は次小節拍頭にあって左手に三和音がやってくるため、下拍が構造上音をぶつけやすく重くなりがちである。したがって、この左手のⅠ主和音の三和音は重すぎないように意識する必要がある。デュナーミクはフォルテやピアノではなく、あえてメゾフォルテであるのもこの点を考慮してのことだろう。
全体の構成としては二部形式。1から8小節を大楽節Aとして、8小節目3拍目アウフタクトから16小節までを大楽節Bとする。
A[a(1から4小節) +a 1(4小節目アウフタクトから8小節)]
B[b(8小節目アウフタクトから12小節)+a1(12小節目アウフタクトから16小節)]
全体としてはポリフォニー(多声的)の要素はほぼ無く、強いて言えばa1の終結(7、15小節)の左手に見られる経過音が含まれる下行順次進行ぐらいである。ここは上下声で並行進行ではあるが、オクターブではなく6度音程である上に非和声音を含むラインのため左手にも旋律的要素があると考える。(※とはいえ、それほどポリフォニーが強調されるほどではない。)
b楽節ではa楽節と違って、厚みのある三和音は伴奏に存在せず、音域として下声域においては高音域になるため、より軽やかな表情が想像される。更に強拍に四分休符、弱拍に四分音符スタッカートという配置のため、リズミカルな性質を持っている。
こうした各楽節の違いを考えて表現することは楽曲の構成感を表現することに繋がってくる。