モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第2楽章 KV 547a Anh.135
Mozart, Wolfgang Amadeus : Sonate II. Rondo: Allegretto KV 547a Anh.135
作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(886 文字)
更新日:2025年7月21日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (886 文字)
まず、この第2楽章は、器楽的要素が強く、弦楽4重奏と考えて間違いはありません。弦楽4重奏でなくても、いずれにせよ、器楽のアンサンブルと考えます。この楽章で注意したいのは、強弱記号です。版によって書き方が異なりますので、この場の説明では筆者の見ている楽譜を基に話を進めていますが、この楽章は基本的に、フォルテとピアノが入れ替わりながら進んで行く楽章です。問題は、書かれてある強弱記号を鵜呑みして、フォルテが来たら突然左右の手が大きくなるという例で、これは是非避けたいところです。強弱記号の場所ではなく、素材で考えるようにします。
冒頭、1〜2小節間、3度のアルペジオが右手から始まり、左手と重なり、左手も3度のアルペジオで進行しますが、この素材は、1つのユニットが8分音符3つ分と考えます。つまり、この1〜2小節間の例で言うと、アーフタクトから始まる、C C A というメロディーライン、厳密には8分音符6つですが、この C C A で1つのユニットとします。その場合、C C に比べて、Aは少しだけ小さく弾くようにします。消えていくように弾き、この、ユニットの最後の音にアクセントが付かないようにしてください。
しかしながら、ここからが問題で、2小節目の2拍目の右手にフォルテが書いてあり、これは新たな素材として考えます。ところが奏者によっては、この部分(2小節目2拍目)の左手を同じく突然フォルテで弾いてしまう奏者がいます。この2小節目2拍目の左手は、1拍目から始まる素材の最後の音であり、弱く弾かなければなりません。更に、1小節目の同じ素材よりも2度低く始まっていますので、尚更弱く弾かなければなりません。素材で考えたり、フレーズで考えたとき、たとえフォルテと書いてあろうがピアノと書いてあろうが、その音はフレーズの最後の音、または始まりの音、等、フレーズや、素材で考えて行くようにしてください。
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