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クレルグ, ジャン : 田舎の踊り

Clergue, Jean : Danse rustique

作品概要

楽曲ID:65598
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:0分50秒
著作権:保護期間中

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (386 文字)

更新日:2024年6月17日
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とても楽天的で、平和な時間が流れる曲と考えます。深刻なことはありません。例えば、1~4小節間と5~8小節間は、2人の会話のようなイメージでも構いません。もちろん独唱と考えても構いません。しかしこの曲の和声を理解し、作曲家が場面場面でどのような感情だったのか、和音やメロディーから想像してみてください。

とても安定的で幸せなムードに満ちた1~4小節間に対して、どこか不安や寂しさを伴う5~8小節間が来て、そして再び同じ歌を歌う9~12小節間に対して、少し期待の持てる13~16小節間、といった感じです。奏者はレッスンの先生とも話し合って、各セクションのムードを想像し、まずはそのような感情を持ちながら演奏する事が大事です。そうすると自ずと強弱も決まってきます。

踊りそのものに使われる曲 と言うよりは、踊りを想像している、あるいは回想している頭の中の描写と考えて良いと思います。

執筆者: 大井 和郎

解説文 : 熊本 陵平 (757 文字)

更新日:2024年11月28日
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楽曲構造は三部形式である。
A[a(1から8小節)+a1(9から16小節)]
B[b(17から28小節)]
A[a(29から36小節)+a2(37から45小節)]

主題の大きな特徴として、1小節単位での動きはあまりないが、複数の小節を塊として見た時、上行進行から開始され、やがて下行形によりフレーズが収まる。このように大きくは山型となっているが、主調G durの明るい響きも相まって、冒頭の穏やかな上行進行は素朴で前向きな表情が感じられる。バロック時代におけるフィグールの一種であるアナバシスを連想する。アナバシスとはギリシャ語で「上行」を意味し、音楽として喜びや希望といったポジティブな表現となる。

主題旋律部では前打音が多用されている。これは民謡による独特のうねり或いは田舎における鳥の囀りであろうか。また、伴奏部では開始音に完全5度が置かれているが、これはよくショパンのマズルカやバルトークの民族音楽的作品において使われる用法で、完全音程の硬い響きが民族音楽の力強さを引き立てる。こうした楽譜に書かれた様々な痕跡は、様々な情景を連想させるので、是非本作品を練習される際にはこうした個性的な特徴を一体なんだろう?と様々想像を広げてもらえると良いだろう。

B楽節に入ると、平行調e mollへ転調する。旋律線の動きがより短くなり、Aの大ぶりな動きとは対照的となる。反復的楽節なので、実は一つの和声カデンツの途中、Ⅳ→Ⅴと繰り返されるので、とても長いカデンツとなっている。スラーの終わりをぶつ切りにせず、横への流れを意識して弾かれると良いだろう。

執筆者: 熊本 陵平
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