1946年に作曲された、翌年、ピアニストのリカルド・ビーニェスの追悼に出版された。 標準演奏時間は4分。『歌』はモデラート・カンタービレ・コン・センティメント。4分の3拍子、ト短調。ヨーロッパでよく知られている〈アメリアの遺言〉という民謡がもとになっている。3拍子のゆれるような伴奏にのせて歌われる旋律は、死の淵にたたされた王女アメリアの悲しみか。最後の力を底からふりしぼるようなfのクライマックスにむけて音楽はすすみ、最後は力尽きるように消えていく。
『踊り』はト長調、4分の3拍子。貧しい娘の恋のはじまりを歌ったカタルーニャの民謡〈糸を紡ぐ娘〉がもとになっている。優しくも、心の弾みが感じられるような愛らしい旋律が魅力的だ。中音域で心の声を歌うような部分と、高音域で華やぐように歌う部分を効果的に弾き分けると面白い。