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ハイドン : メヌエット ハ長調

Haydn, Franz Joseph : Minuetto in C C-Dur

作品概要

楽曲ID:76676
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:メヌエット
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (421 文字)

更新日:2024年5月14日
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楽しく、軽快に弾ければ良いのですが、最大のネックは7小節目と15小節目のターンになります。

これを弾くには2つ方法があり、CHAHと4つの音を弾くパターンと、HCHAHと5つの音を弾くパターンがあり、当然、後者の方が困難になります。このターンをスムーズに、軽やかに、技術的な未熟さを感じさせないように弾くことはなかなか大変な事ですので、このターンを弾くと決めた学習者に取っては、それなりの練習が必要になります。この曲がコンクール等で用いられる場合、このターンが特に重要になります。

その場合の指番号は、1-2-3 の指で弾く事ををお勧めいたします。いずれにせよ、これら3本の指は完全に独立していなければならなく、指の独立を促進するエクササイズ、例えば、ドホナーニやピシュナーなどを取り入れる事も一案です。そして、第1関節が反り返ってしまう学習者は、まずそこから矯正しなければ、良い結果は得られません。良い機会と考え、指の形を直してしまいましょう。

執筆者: 大井 和郎

解説文 : 熊本 陵平 (699 文字)

更新日:2024年11月14日
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二部形式

A[a(1から4小節)+ b(5から8小節)]

B[b1(9から12小節)+b2(13から16小節)]

※各小楽節はアウフタクトより始まるが、上記はアウフタクトを含まない小節番号。

 もっとも特徴的なモティーフは、4小節からみられる三連符の八分音符、下行形分散和音線である。2小節から3小節目冒頭、和声進行Ⅴ→Ⅰ(ドミナントからトニックへ和声解決)により全終止かと思えば、3小節3拍目で唐突に、この三連符の下行八分音符のモティーフが現れ、半終止へと導く。旋律線としては1から2小節で上行し、3小節1から2拍で下行して落ち着くようなのに、急に6度上に跳躍して下行分散和音線となるのだ。その様はまるで「しゃっくり」をしているようである。

 これはハイドンによる音楽の冗談であると言える。いかにもハイドンらしいモティーフであり、実際b小楽節以降の展開ではこのモティーフが必ず楽節の最初にアウフタクトとして演奏されることになる。そうすると、通常はアウフタクトから次小節主拍に移る際には主拍へ向かってアウフタクトは軽やかに、主拍はエネルギーの向かう先としてやや重めに表現することが常套手段だと考えられるが、このモティーフが諧謔的表現であることを示すために若干の強調されたニュアンスが必要だと思われる。

 3拍子の楽曲ではあるが、メヌエットであることに注目してほしい。ワルツと拍子感は異なり、メヌエットは2小節1つというふうな大ぶりな動き方はしない。あくまで1小節間における3拍子である。このことはテンポ設定の上でも重要で、ワルツのように小節線を跨いで大きく捉えようとするとテンポも速くなりがちなので注意したい。

執筆者: 熊本 陵平

楽譜

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