作品概要
楽曲ID:
8853
初出版社:Breitkopf献呈先:J. Epstein
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:練習曲
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
解説 : 上田 泰史
(590 文字)
更新日:2011年5月13日
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解説 : 上田 泰史 (590 文字)
更新日:2011年5月13日
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本練習曲は、六曲ずつの二巻からなり、第一巻が1837年に、第二巻が翌1838年に出版された。この作品26がタールベルクにとって唯一のエチュード集である。今日ではオペラなどの主題によるパラフレーズ作曲家というイメージが付きまとうタールベルクだが、彼もまた30年代のエチュード熱に突き動かされて優れたエチュード集を書いた一人である。エチュードの慣例に従って、各曲は限られたリズムモチーフで構成している。いずれのモチーフも指の敏捷さ、大きな跳躍、手の伸張、交差など特定の技術的目標を達成するために書かれているが、それをきわめて速いテンポで演奏するよう指示している。メトロノームの指定速度が遅い場合でも、一拍が細かい音符に分かれているために指示通りのテンポで弾くことは決して容易ではない。しかし、同時代を生きたパリ音楽院教授マルモンテルが伝えるところによれば、ショパン同様、巧みにペダルを操り音響をコントロールできたタールベルクの演奏には、粗っぽさや力まかせの打鍵からくる音の濁りが一切なく、極めて端正で透き通るような印象を与えたという。
作曲家解説の箇所で既に述べたが、この練習曲にも中音域に旋律を置きそれを分散和音でとりまくというタールベルクに典型的な書法が見られる。参考までに第2巻第4番の冒頭を挙げる。
オペラの旋律を多く作曲に用いたタールベルクだけあって、旋律の彫琢には余念がない。
執筆者:
上田 泰史
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