マチェイェフスキ Maciejewski, Roman
解説:PWM Edition(翻訳:平岩 理恵) (985文字)
更新日:2022年9月20日
解説:PWM Edition(翻訳:平岩 理恵) (985文字)
ロマン・マチェイェフスキ Roman Maciejewski
(1910年ベルリン[ドイツ]~1998年ヨーテボリ[スウェーデン])
ロマン・マチェイェフスキは、ポーランドの作曲家、ピアニスト、指揮者。1910年、ベ
ルリンで生まれた。楽器演奏の才能に恵まれた母親のもと、幼少期からピアノとヴァイオリ
ンの演奏の手ほどきを受けた。1916年から19年まで、ベルリンのシュテルン音楽院でピア
ノのレッスンを受ける。マチェイェフスキの一家は1919年にポーランドに戻った。ロマン
・マチェイェフスキは1924年から31年までポズナンに滞在、同地の音楽院に通い、ピアノ
、音楽理論、和声、対位法を学んだ。1931年ワルシャワ音楽院に籍を移すが、2年後、前
院長のカロル・シマノフスキを擁護する学生ストライキを主導した一人として退学処分とな
った。
ピアニストとしてのマチェイェフスキの最初の大きな成功は、1932年に芸術普及研究所
で開催されたリサイタルだった。この演奏がポーランド外務大臣ユゼフ・ベックとの出会い
につながり、大臣は彼のバルカン諸国を巡る演奏旅行の実現に便宜を図ったほか、彼がパリ
で音楽を学ぶための奨学金を取り付けた。留学中、ナディア・ブーランジェに師事したマチ
ェイェフスキは、ストラヴィンスキー、ミヨー、プーランクをはじめとする現代音楽界の著
名な作曲家と知り合った。以降、彼はイギリス、スウェーデン、アメリカなど常に国外で過
ごし、講演や作曲、演奏活動などに明け暮れた。
マチェイェフスキが作曲を手がけた楽曲はピアノのための作品が中心だが、室内楽曲や合
唱曲にも事欠かない。また、イングマール・ベルイマン監督演出の演劇作品(シェイクスピ
ア『マクベス』、カミュ『カリギュラ』など)のための舞台音楽なども書いている。マチェ
イェフスキの創作の中でも最も大掛かりな作品の一つであるレクイエム《死者のためのミサ
》は、第4回「ワルシャワの秋」国際現代音楽祭では冷ややかに受け止められたが、ロサン
ゼルス音楽センターでの公演(1975年)後に大変な評判となった。
ロマン・マチェイェフスキは1998年にヨーテボリで没したが、亡骸はポーランドのレシ
ュノに葬られた。1997年以来、同市ではロマン・マチェイェフスキ記念レシュノ音楽協会
が組織され、この傑出した作曲家の作品を広く普及させるべく活動を続けている。