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レデニョフ 1930-2019 Ledenyov(Ledenev), Roman Semyonovich(Semenovich)

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  • 解説:舟山 太郎 (1981文字)

  • 更新日:2024年9月20日
  • ソ連・ロシアの作曲家、教育者。1930年12月4日モスクワで、現在の農業省の前身組織に勤務する父親と文献学者の母親のもとに生まれた。モスクワ音楽院附属中央音楽学校でメッスネルとシェバリーンに作曲を学び、同校を卒業後に進学したモスクワ音楽院ではじめはラーコフに、のちにアナトーリー・アレクサンドロフに師事した。モスクワ音楽院大学院でも引き続きアナトーリー・アレクサンドロフに師事し、1958年に修了した。レデニョフの教育者としてのキャリアはモスクワ音楽院音楽理論科助手から始まった。その時期をモスクワ音楽院公式サイトおよび多くの資料は大学院在学中であった1956年から1964年までとしている。しかしレデニョフが執筆した追悼記事「音楽学者ツッケルマンの思い出」には「大学院修了後、私は音楽理論科の時間給教員になった」と記されているほか、母校で指導を始めた時期を大学院修了後とする資料もあり、助手としての指導時期は定かではない。1978年から同音楽院作曲科で教え、1991年から晩年まで教授を務めた。2006年からはモスクワ音楽院附属中央音楽学校でも教鞭を執った。ソ連作曲家同盟および後継組織であるロシア作曲家同盟の会員で、1970-73年と1995-2006年に書記に就任した。1995年ロシア連邦人民芸術家。2019年8月15日、モスクワにて息を引き取った。息子アンドレイ・レデニョフ(1959-)も作曲家で、映画音楽を中心に創作している。

    レデニョフの作風は影響を受けた作曲家によって大きく変化した。1940年代末から1960年代初頭の作品には、学生時代に傾倒していたプロコフィエフとの類似が見られる。のちにレデニョフは随筆「彼の音楽は生きている」の中で、「若い頃、プロコフィエフの音楽は私を完全に虜にし、それは地平線の彼方までの空間を埋め尽くしていた。(中略)この素晴らしい音楽を貪欲に吸収するようになった」と回想している。この時期の作品に《クラリネットとピアノのためのソナタ》作品1(1952)、《弦楽四重奏曲》作品7(1958)などがある。その後デニソフ、シュニトケなどソ連の一部の作曲家と同様に前衛音楽に惹かれた。特にウェーベルンの影響を強く受け、音の間に細心の注意を払った音楽的な静寂を作り出した。この時期の作品に《弦楽四重奏とハープのための6つの小品》作品16(1966)、室内アンサンブルのための《10のスケッチ》作品17(1967)などがある。1970年代に入るとロシアの伝統へと回帰し、これがレデニョフの代表的な作風となった。ただし民俗音楽からの引用ではなくロシアの精神に基づき独自の旋律を生み出した。敬愛していたスヴィリードフと曲を捧げ合い、1998年にスヴィリードフが他界すると追悼作品を書いた。この時期は、バスとピアノのための歌曲集《ネクラーソフのノート》作品24(1974)、混成合唱のための《ロシアの詩より》作品80(2006)などロシアの詩人の詩に基づいた声楽曲を精力的に書いたが、ほかの分野の作品にも同様の作風が見られる。

    レデニョフは子ども向けのピアノ曲を約350曲書いているが、しばしば複数の曲にひとつの作品番号が付けられており、個々の作曲年を正確に推定することは困難である(例えば作品9-1という番号が24曲に付けられている)。現在日本で出版されているピアノ曲は〈悲しいできごと〉〈深い森の中で〉〈いいあらそい〉の3曲で、このうち〈悲しいできごと〉と〈深い森の中で〉は1962年に出版されたことから初期の作品と考えられる。なお〈悲しいできごと〉は意訳された曲名で、原題は〈不愉快なできごと〉となっている。〈いいあらそい〉が含まれる《音楽の絵》作品26は105曲から成る大規模な曲集で、1962年から約20年かけて作られた。〈いいあらそい〉はほかの24曲と共に作品26-1という番号を付けられており、比較的早くに書かれたものと推測される。

    参考文献:

    Скурко 2022 — Скурко Е. Р. Роман Леденёв и Сергей Прокофьев: точки соприкосновения // Проблемы музыкальной науки / Music Scholarship. 2022. № 1. С. 38–53.

    Леденёв Роман Семенович [Электронный ресурс] / Московская государственная консерватория имени П. И.  Чайковского. - Режим доступа: http://www.mosconsv.ru/ru/person/8950, (参照 2024-08-30).

    執筆者: 舟山 太郎
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    ※ 表記の揺れの例:レデネフ

    作品(3)

    ピアノ独奏曲 (1)

    ★ 種々の作品 ★ (3)

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