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パルムグレン :3つのピアノ曲 愛らしいワルツ Op.54-2

Palmgren, Selim:3 Pianostycken "Valse mignonne" Op.54-2

作品概要

楽曲ID:25072
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ワルツ
総演奏時間:4分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 渡邊 真里子 (934文字)

更新日:2025年5月12日
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「可愛らしいワルツ 」 Op . 54-2

導入部は変ニ長調の属9の和音で開始する。和音の上声部が半音ずつ下降して行き、和音の連結により、「光と影」を表現する。ロマン的で幻想性溢れるイントロダクションである。

 主題は12小節より開始する。ユニゾンの穏やかな主題が提示される。時折、旋律は半音下げられて、やや影を帯びる。パルムグレンの作品に頻出する書法が認められる。29小節より動機は、1オクターヴ上の三連符となる。流麗なアルペジオで展開する。左手は右手に並行して進行し、全体的に華麗で優美な旋律が支配する。

 展開部は45小節から66小節である。爽快感のあるワルツの形式を示す。和音の第三音半音下がり、翳りを見せる。華麗なセクションであり、和声に対する繊細な感覚を余すところなく表現している。孤高の精神を示し、華やかに疾走し、力強い和音で終止する。

 62小節でヘ短調に転調し、Cセクションが開始する。一転して悲哀感を帯びた曲想となる。75小節よりアルペジオで伴奏が上行する。調性は79小節で変ロ短調に転調する。オクターヴの旋律の下をアルペジオの和音が流れる。84小節より、再びヘ短調に転調し、静かに終結する。

 86小節より変イ長調に転調し、明るい曲想のワルツに転ずる。半音進行を多用して、華麗に展開する。スケールで上行した後、95小節でヘ短調に転調し、98小節よりハ長調に転調する。重音が跳躍して光輝くように上行し、ハ長調の主和音で解決する。

 104小節よりCセクションを再現する。116小節より旋律は下降し、属7の和音がI度の和音で解決する。透明感溢れるフレーズで終止する。パルムグレンの音楽に特有の、高音域を生かした煌めきのある音の多い構成となっている。

 120小節より128小節まで、経過句のフレーズの最後の音が半音ずつ上行していき、主題がヘ短調から主調である変ニ長調へと転調して行く。

 127小節より161小節まで、主題が再現する。集結部に近づくと共に儚げさを感じさせる。ショパンのワルツの華麗さと比較すると、孤高で内省的な北欧人の精神を反映している。

 161小節よりコーダとなる。一つの動機を反復して、一抹の悲しみを帯びた表現となっている。I度の和音で解決する。

執筆者: 渡邊 真里子
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