モーツァルト : 3台のピアノ協奏曲 第7番「ロードローン」 ヘ長調 K.242
Mozart, Wolfgang Amadeus : Konzert für 3 Klaviere und Orchester (Nr.7) 'Lodron' F-Dur K.242
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 稲田 小絵子
(659 文字)
更新日:2008年1月1日
[開く]
執筆者 : 稲田 小絵子 (659 文字)
1776年2月、ザルツブルクで親交のあったアントーニア・ロドロン伯爵夫人とその2人の令嬢のために作曲された3台のピアノのための協奏曲。それゆえ《ロドロン》協奏曲という愛称がある。この作品では独奏者の技術のためか、第3ピアノは他の2台に付随するような形で書かれており、技巧的なパッセージによる掛け合いや独自の主張は少ない。そのため、モーツァルトは後にこれを2台のピアノのための協奏曲へと編曲した。とはいえ、もちろん3人で協演する楽しさもある。この後のマンハイム・パリ旅行では、モーツァルト自身が友人と楽しんだり、私的な演奏会に提供したり、といった演奏の機会を得ている。
第1、第2楽章にはモーツァルト自身によるカデンツァが残されている。
第1楽章:アレグロ、ヘ長調、4/4拍子。協奏的ソナタ形式。親子3人のために作曲された協奏曲らしく、ヘ長調の愉しい主題と軽やかなパッセージから成るが、途中に現れる短調は音楽性の高さも感じさせる。
第2楽章:アダージョ、変ロ長調、4/4拍子。協奏的ソナタ形式。あたたかさを感じさせる主題をもつ緩徐楽章。旋律は主に第1、第2ピアノが担当し、第3ピアノは支えとなる伴奏形を奏する。
第3楽章:ロンド。テンポ・ディ・メヌエット、ヘ長調、3/4拍子。ロンド形式。メヌエット風の優雅で気楽なロンド主題がピアノに先導されて始まる。この楽章も第1、第2ピアノを中心として展開するが、ロンド主題が最後に回帰した際にようやく第3ピアノが加わり、ほんの4小節ではあるが、主題旋律の3度下をなぞることを許されている。