作品概要
作曲年:1904年
出版年:1912年
初出版社:Unión misical española
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:27分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : 齊藤 紀子
(820 文字)
更新日:2008年7月1日
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執筆者 : 齊藤 紀子 (820 文字)
20世紀初頭、グラナドスが30代の半ば頃に作曲されたと考えられている。マリア・オリベロという名の女性に捧げられた。この曲集には、<マズルカ>という第1曲目と同じ名の副題が付けられている。さらに、「モットー」として4小節分の楽譜が添えられている。
曲集の全体は6つの小品から構成されている。
<マズルカ>
3部形式で書かれている。この曲のマズルカの最後には、ピアノによるレチタティーヴォが添えられている。マズルカの部分はポコ・レントの変ロ短調で4分の3拍子となっている。そして、レチタティーヴォの部分は、レントとなる。ここは、ほぼ1本のラインで構築されているが、起伏に富んでいる。
<子守歌>
レントの嬰ハ短調、8分の6拍子。マズルカとその後のレチタティーヴォから雰囲気をがらりと変え、明るさに満ち溢れている。とは言え、この曲においても、中間部のグレゴリア聖歌調の部分では、深さが感じられる。
<無題>
レントのこの曲は、「遅く、恍惚と」という意味の指示が添えられている。ト長調の4分の3拍子で書かれているこの曲を、グラナドスは「詩人と夜鳴きウグイス」と呼んだらしい。
<アレグレット>
4分の3拍子のト長調。タイトルには示されていないものの、この曲集の第1曲目にも置かれたマズルカに近い性格をもつ。この曲では、変ロ長調でメロディーに応答する中声部がある。
<アレグロ・アパッショナート>
4分の4拍子の変ホ短調。速く、情熱的にと指示されている。この曲集の中では最もピアニスティックな書法で書かれている。後半部分には、これまでの曲に聞かれた主要なテーマが変容されて再び聞かれる。
<エピローグ>
アンダンティーノ・スピアナートの変ホ長調、4分の3拍子。「詩的な高揚感と共に」と指示されている。右手の甘く美しいメロディーと、それを支える左手のアルペジオというわかりやすいテクスチュアで書かれている。前の曲のドラマティックな趣を爽やかに消化するような役割を果たす曲である。
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