ヤナーチェク :思い出
Janáček, Leoš:Vzpomínka
執筆者 : 小崎 紘一 (245文字)
不思議な肌触りを持つ一分にも満たない小品。
自身から湧き上がってくる構想をそのまま汲み上げたような曲想で、タイトル通り、記憶を辿っていくかのように短いオスティナートが旋律を導く。はじめは穏やかに、一瞬短調を潜って別の動機が現れるのだが、すぐに前述のオスティナートが激しく展開し始める。しかしそれもふと足を止め、おもむろに冒頭のフレーズへと立ち返り、曲は終わる。
ヤナーチェクのカタログの中でも決して傑出した作品ではないが、この作品を書いた年に彼が逝去したこととも相まって、印象深い味わいがある。
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