1920年の歌曲「ジャン・コクトーの3つの詩」Op. 59(サティに献呈)をミヨー自身が4手連弾用に編作したものである。マルグリット・ロンが校訂・運指をおこない1928年に出版された。ロンとミヨーのかかわりについては《博覧会めぐり》(Op. 162)の拙稿をご参照頂きたい。コクトーの詩は縁日や蚤の市を題材としたもので、特段子ども向きということはないが、メロディが親しみやすく技術的にも平易であることから「アンファンティーヌ」とリタイトルされたものであろう。《子どもたち》、《子供らしさ》などの邦題もある。ディアトニックで明快なメロディに、ポリトナール(多調)とポリリズムを絶妙にからませることで、独特の新鮮な音響が生まれる。文字通り子どもたちのおさらい会から本格的なコンサートまで、幅広い用途に対応する。
第1曲 Fumée 煙。Vivement(活発に)、8分の6拍子、ロ長調(調号なし)。
第2曲 Fête de Bordeaux ボルドーの祭り。Doucement(やさしく)、8分の6拍子、複調のため調性不定。
第3曲 Fête de Montmartre モンマルトルの祭り。Bien rythmé(きびきびと)、4分の4拍子、イ長調(調号なし)。