4つの曲から構成された曲集である。その4つの曲は、別々の時期に作られている。グリーグの作品において、このように作曲様式の変化をたどることのできるものは珍しい。《アルバムの綴り》というタイトルは、後に、《叙情小品集》を構成する数曲に対しても用いられている。
第1曲目はアレグロ・コン・モートの変イ長調。1864年に書かれた。ホモフォニックに書かれているが、メロディーを浮き立たせるように響かせることはそれほどたやすくない音楽となっている。
第2曲目はアッレグレット・エスプレッシーヴォのヘ長調。第1曲目の10年後にあたる1874年に書かれた。メロディーの描く曲線が美しく、そこには所々に装飾が施されている。
第3曲目はヴィヴァーチェのイ長調。第2曲目の2年後にあたる1876年に書かれた。ワルツを思わせる曲である。この曲は、中間部で、主調からみて同主長調にあたるイ短調に移旋する。
第4曲目はアンダンティーノ・セリオーソの嬰ハ短調。第3曲目の2年後にあたる1878年に書かれた。上声と下声の並進行で開始し、民謡風のメロディーが美しい曲である。中間部は、ハリングを思わせる。ハリングとは、ノルウェーの民族舞踊の一種で、力強い性格を持ち、大抵は男性がソロで演じる。