正確な出版年は不明だが、J.C.ヴァルターの音楽事典(1732)によれば1702年頃とされる。20の異なる長短調で書かれたプレリュードとフーガ、および5つのプロテスタント・コラールに基づくレチェルカーレから成る。プレリュードとフーガは、C-durから半音階順に上昇し、c-mollまで、b-moll, es-moll, gis-moll, Fis-dur, Cis-durを除く全調と、e-Phrygianを含む。調号は必ずしも完全ではなく、d-moll, g-moll, As-dur, c-mollにおいてはフラットがひとつ不足、e-moll, fis-moll, h-mollにおいてはシャープがひとつ余分になっている。プレリュードはもっとも短いもので7-25小節の規模であり、15小節前後のものが多い。ペダルはプレリュードでのみ要求されており、それもほとんど動きのないペダルポイントで、あまり重視されていない。
この曲集はまた、J.S.バッハに音楽的素材を提供したことでも重要である。《平均律クラヴィーア曲集》のフーガ主題には、《アリアドネ》から引用されたと思われるものがある。(《アリアドネ》第5番Fuga Es-durとバッハ《平均律クラヴィーア曲集》第I巻第16番Fuga g-moll、《アリアドネ》第8番Fuga E-dur とバッハ《平均律クラヴィーア曲集》第II巻第9番Fuga E-dur、《アリアドネ》第10 番Fuga F-durとバッハ《平均律クラヴィーア》第I巻第11番Fuga F-durなど。)