エストニアの作曲家ウルマス・シサスク(1960-2020)による《星の組曲 第2集 ペツレヘムの星カペラ》は、天文学に造詣の深い作曲者が、星座の輝きに着想を得て作曲した作品集です。エストニアでは、カペラは沈むことのない星とされ、特にクリスマスの時期に南の空に明るく輝くことから、「クリスマスの星」とも呼ばれています。各曲のタイトルはカペラの特徴に基づいており、それぞれ異なる音響や演奏法が求められます。
「カペラーうららかな星」は、終始「ラ」の音が保続される中、右手の軽やかな音型が輝きを帯びて響きます。途中から低音が加わり、重音を伴いながら半音階的に進行することで、音楽にさらなる深みが生まれます。
「カペラー明るい星」は、右手の「ドシソラミ」の音型がリズムを変えながら反復され、充実したフォルテで奏されることで、一種のトランス的な音響空間が生まれます。
「カペラー輝く星」では、「白鍵を腕で音を出さずに押さえる」という指示が冒頭にあり、響きの中でスタッカートの自由な旋律が浮かび上がります。
「カペラーペツレヘムの星」では、22小節目から「きよしこの夜」の旋律が幻想的に現れ、星の輝きとともに静謐な雰囲気が広がります。
「カペラーくれない星」では、「ミソラシレ(ミ)」の音型が流れ続ける中、エストニア語の詩が季節の移ろいを描写します。「春:小鳥たちがもう囀っているよ」「夏:聖ヨハネの夜に焚き火を囲もう」「秋:とべ、ツルよ。森の大地を超えて」「冬:雪の上をそりに乗るのはとても楽しい」
「カペラー二重星」は変拍子を特徴とし、左右の手によるデュエットが星の軌跡を描くように展開されます。
「ぎょしゃ座の星」は、充実したハーモニーと3拍子の揺れるリズムが特徴で、生き生きとした演奏が求められます。
本作には、シサスクならではの宇宙観と、響きを生かした独自の作曲技法が随所に見られます。各曲の異なる響きや演奏法を探求しながら、星々の輝きを音に映し出すことが求められるでしょう。