滝口修造の同名の詩「遮られない休息」に基づいて作曲された。但し、作曲者自身が述べているように、この詩の描写というよりもむしろ、詩がもつ印象や感じに対する音を用いたアプローチに主眼がおかれている。
第1曲目は1952年に作曲された。同年に園田高弘により初演されている。この曲の冒頭には、「ゆっくりと、悲しくそして対話を交わすかのように」という指示が付されている。そして、2部分構成の形をとっている。《遮られない休息》の中では、唯一といってよいほど、メロディーに近いラインが認められる。また、後半において冒頭の音楽が回帰する。
第2曲目は1959年に作曲された。同年に笠間春子により初演されている。この曲の冒頭には、「静かに、残酷な響きで」という指示が付されている。「ppp」で開始し、静けさを基調として音楽が運ばれるが、そのような流れが時折、ピアノの打楽器的な打鍵の響きを強調するかのような強打音によって遮られる。そして、異なる音域においてこの2つの響きが並置されることの対比により、曲を閉じる。
第3曲目は1959年に作曲された。同年に笠間春子により初演されている。そして、アルバン・ベルク(1885-1935)に捧げられたオマージュとなっている。前述の通り、2曲目とこの3曲目は同じ年に作曲されたが、前の曲と対照的な「愛の歌」という言葉が冒頭に書き添えられている。《遮られない休息》の中では、唯一小節線が引かれており、2分の3拍子で書かれている。わずか13小節から成るこの曲は、ベルクの絶筆となった《ヴァイオリン協奏曲》を想起させる分散和音により、静かに曲を閉じる。
□□楽譜情報□□(2008年4月現在)
サラベール(Salabert)「La pause ininterrompue(Uninterrupted rests)」