モーツァルト : ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 K.333 K6.315c
Mozart, Wolfgang Amadeus : Sonate für Klavier Nr.13 B-Dur K.333 K6.315c
作品概要
解説 (1)
執筆者 : 岡田 安樹浩
(1260 文字)
更新日:2009年12月1日
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執筆者 : 岡田 安樹浩 (1260 文字)
作品の成立にかんしては諸説あったが、アラン・タイソンの研究によって着手の時期が1783年末頃、リンツにおいてであると同定された。このソナタは、1874年の夏にトリッチェッラ社から、『ピアノ・ソナタ』K.284(いわゆる「デュルニッツ・ソナタ」)と『ヴァイオリン・ソナタ』K.454と共にOp.7として出版された。
1783年の夏、モーツァルトは妻のコンスタンツェと共に生涯で最後となるザルツブルク帰郷を果たし、ウィーンへ帰郷する途中でリンツに立ち寄った。この時『リンツ交響曲』K.425を作曲し、同時期にこのソナタにも着手したと考えられ、完成はウィーン帰着後である可能性が高い。
第1楽章 変ロ調長 4分の4拍子 ソナタ形式
アポジャトゥーラと旋律の下降線が特徴的な主要主題は、楽章全体の性格を決定づけている。順次下降音型によって開始される最初の副次主題(第23小節~)と、分散和音下降を特徴とするもう一方の副次主題(第39小節~)は、主要主題から紡ぎだされたと考えて良いかもしれない。
後半部分(第64小節~)は、主要主題によって属調のヘ長調で開始されるが、すぐにアルベルティ・バスの上に即興的なパッセージが展開する。ヘ短調、ハ短調、ト短調と属調への転調を繰り返し、主調である変ロ長調の属和音へ至る。同主短調の音である変ト音がシグナルのように挿入されつつ、主要主題の再現となる(第94小節~)。2つの副次主題も主調で再現され(第119小節~/第135小節~)、前半(提示部)と同様のコーダ(第59小節~/第161小節~)で楽章を閉じる。
第2楽章 変ホ長調 4分の3拍子
ソナタ形式と同様に属調主題の主調再現を持つ2部分形式で作曲されているが、後半部分は即興的な装飾が施されている。冒頭の主題の中に、第1楽章の主要主題を想起させる順次下降音型が挿入されていることは見逃せない(第3小節第3拍目)。
属調主題(第14小節~)にも、順次下行と旋回音型による装飾が特徴的である。ポルタートによる同音反復の動機は後半部分で重要な役割を果たす。
後半(第32小節~)では、属調主題の同音反復の動機が繰り返しあらわれながら、ヘ短調、ハ短調、変イ長調、変ニ長調を経て、変ホ長調の属7和音へと至る。
冒頭主題が即興的な装飾をともなって再現(第51小節~)した後、属調主題を主調で再現(第64小節~)する。
第3楽章 変ロ長調 2分の2拍子 ロンド形式
最終楽章のロンド主題も、下行音型とアポジャトゥーラによって特徴づけられている。
平行短調のト短調であらわれる主題(第65小節~)にもロンド主題中の16分3連音符による順次下行音型が用いられ、主題の関連性が意図されている。
第112小節から回帰するロンド主題は発展し、即興的なパッセージが展開される。そしてその終着点では、ドッペル・ドミナントから主和音の第二転回形上に停止し、カデンツァが用意されている(第171小節)。
そして再びロンド主題となるが、今度はアインガング(第198小節)が挿入され、コーダとなる。
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